よみもの

着つけも洗濯も、スマートに
洗える長じゅばん選手権2022

2022年7月7日公開

汗をたっぷりかく時季に、洗える長じゅばんはありがた〜い存在。
着心地は? お手入れのしやすさは?
着物好きの3名の審査員が実際に触ったり、着たり、洗ってみたり、五つのアイテムを徹底比較。
長じゅばん界の精鋭が競った結果やいかに。選手権、開幕!


(左)泉さやかさん、(中央)本田恵子さん、(右)小田嶋舞さん

審査員

本多惠子さん
着物コーディネーターとして活躍するほか「keiさんの着付教室」を主宰。今日のコーディネートは絽(ろ)の小紋に夏のしゃれ袋帯。夏は半じゅばんに和装ブラが定番。

小田嶋 舞さん
カフェバーを併設したアンティーク着物の販売・レンタルショップ「着縁」オーナー。地唄舞神崎流の師範でもある。暑い季節は店ではゆかただが、お出かけ時は上布を着ることが多い。長じゅばんは麻素材を愛用。

泉 さやかさん
自らデザインしたゆかた地や帯留めなどを中心に、セレクトアイテムも扱う「coten」を主宰。この日もオリジナルのりんご柄のゆかたを着物風に着用。長じゅばんはやわらかい風合いの、竪紗(たてしゃ)の「爽竹®」を通年愛用。

選手権エントリーアイテム


右から、1「つゆくさ」大うそつき 長じゅばん 麻わた入り、2 アイスコットン長じゅばん(反物)


右から、3 東レ爽竹セオα プレタ長襦袢(紙人形)、4「衿秀」き楽っくプレタ 長じゅばん ひんやりPremium(※写真はこまものや七緒での取り扱い色とは異なる色です)、5 東レ絽ちぢみ紙人形 プレタ長じゅばん

吸水性の良い麻わたがたっぷり
1「つゆくさ」大うそつき 長じゅばん 麻わた入り


肌離れのいい本麻手もみ生地

袖を付け替えできる大うそつき長じゅばん。身頃や袖、絽の半衿はもちろん、腰紐、衣紋(えもん)抜きまですべて麻素材。背中から脇、腰まわりに入っている、汗取り用の洗える麻わたが、着物への汗染み付着を防止。

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「つゆくさ」大うそつき長じゅばん 麻わた入り

天然素材なのに、ひんやりするってホント?
2 アイスコットン長じゅばん(反物)


しっとりとした肌触り

肌から放出される熱を瞬時に吸い取ることで、ひんやり感じる「アイスコットン」。特殊な織りの技術により、「接触冷感機能」を実現。綿85%、麻15%の混紡で、オール天然素材。麻よりも体感温度が低いという実験データも。

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アイスコットン長じゅばん(反物)

竹繊維が入ってさらっと気持ちいい
3 東レ爽竹セオα プレタ長襦袢(紙人形)


しなやかで優しい感触

ヨコ糸に竹繊維を原料にした吸放湿性の高い「爽竹」、タテ糸に吸水速乾性の高い「セオα®」を使用。「セオα」糸を組み合わせることで、生地同士の摩擦を軽減。裾さばきがより良くなっている。

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東レ爽竹セオαプレタ長襦袢

キシリトールで身頃を涼感加工
4「衿秀」き楽っくプレタ 長じゅばん (ひんやりPremium)


レース生地の唐草柄は「衿秀」オリジナル

袖は着脱テープ、半衿はファスナーで簡単に着脱できる。袖や裾のレース生地部分には、中心が空洞の糸を使用しており通気性良好。身頃は綿麻の楊柳素材で、涼しさを感じるキシリトール成分がプラスされている。

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「衿秀」き楽っくプレタ長じゅばん(ひんやりpremium)

ポリ100%だけど、暑くない?
5 東レ絽ちぢみ紙人形 プレタ長じゅばん


さらりと爽やかな手触り

ポリエステル100%。生地が吸水速乾性のある「東レシルック」なので、ポリ特有の蒸れが気にならない。シワになりにくく、裾さばきも良い。絽ちぢみなのでシャリ感があり、通気性も良く、涼しく着られる。「紙人形」という立体裁断縫製仕立てで美しい衣紋に。(※こちらはこまものや七緒取り扱い外商品です)

種目1  触ってみた


手触りを入念にチェックする審査員3名。


「肌にまとわりつかないわね」と本多さん。

一口に洗える長じゅばんといっても、素材が違えば手触りや風合いも異なる。ポリエステルの長じゅばんを手にした本多惠子さんは「爽竹セオαも絽ちぢみも、上質な手触りでびっくり。まとわりつく感じがなく、さらっとして気持ちがいい」と絶賛。小田嶋舞さんも「どちらも持ったときに、ふわっと軽いのがいいですね」。衿や袖を着脱できるき楽っく長じゅばんについては、泉 さやかさんが「レース生地部分が涼しそう。唐草柄のデザインも好み」と好感触を示した。


スケールで重さを量ると…、実際の重さは以下の表の通り。

麻の大うそつきも「ざらっとした肌触りが好き。パッドが付いていて汗っかきの人には良さそう」と泉さん。綿麻素材のアイスコットンは、3名ともに「触った瞬間、ひんやり!」と驚きを隠せない様子。半面、アイスコットンは目が詰まっている分重いのでは?との疑問も。実際に5アイテムを計測してみると、想像通り一番重かったが、「ひとえのときも着られる生地感がいい」と、使い勝手の良さを指摘する声も上がった。

重さレポート

1 「つゆくさ」大うそつき長じゅばん 麻わた入り 450g
2 アイスコットン長じゅばん(仕立て後) 525g
3 東レ爽竹セオαプレタ長襦袢(紙人形) 475g
4「衿秀」き楽っくプレタ長じゅばん(ひんやりPremium) 500g
5 東レ絽ちぢみ紙人形プレタ長じゅばん 425g

"触ってみた" 3人の評価は…

「つゆくさ」大うそつき長じゅばん 麻わた入り


生地がしっかりしていて、高級感のある風合いですね。麻の中でも硬めの手触りの織り地が私には合いませんが、麻の生地感が好きな人には良さそう。

触り心地 ○
軽さ ◎

アイスコットン長じゅばん(反物)


しっとりとした優しい肌触りで着心地がよさそう。肌にも張り付きません。ほかの長じゅばんより若干重ためなのが気になりました。

触り心地 ◎
軽さ ○

東レ爽竹セオα プレタ長襦袢(紙人形)


居敷当てが脇まで付いているので丈夫。透けを心配しなくていいのもうれしいですね。ごわつきがなく、さらっとした肌触りです。

触り心地 ◎
軽さ ◎

「衿秀」き楽っくプレタ 長じゅばん (ひんやりPremium)


袖や裾の生地のデザインがかわいらしくて私好み。肌触りが良く、ふんわりと軽い生地感も良いですね。

触り心地 ○
軽さ ◎

東レ絽ちぢみ紙人形プレタ長じゅばん


とにかく軽い! 生地がやわらかいので、もう少しハリ感が欲しいと感じましたが、やわらかい生地感が好きな人には良いかも。

触り心地 ○
軽さ ◎

▼洗える長じゅばん選手権2022 よみもの一覧
⇒ 第1話「触ってみた」はこちら
⇒ 第2話「着てみた」はこちら
⇒ 最終話「洗ってみた」はこちら

●引用元
七緒vol.70 夏号(プレジデント社)

●スタッフクレジット
文=佐々木香織
撮影=ただ(ゆかい)