よみもの

大久保信子流肌着で変わる?
「すっきり着つけ」の真相

2023年5月1日公開

着つけの技術だけでなく、肌着ひとつできれいな着つけはかなうらしい。
マンガ家の伊藤理佐さんが体験してみると……?

半じゅばん

●大久保信子流 レース袖半じゅばん


「透けが気になる夏でも、着物の下は半じゅばんだけでいいって本当ですか?」たずねる伊藤理佐さんに、大久保信子さんが「ええ」、と広げて見せたのは、レース袖の半じゅばん。「絹紅梅や麻などのカジュアルな夏着物なら、素肌にこの半じゅばんと裾よけをつければベースメイクは完成。レースがたっぷりあるので透けてもかわいいわよ」(大久保さん)
身頃は綿麻のワッフル素材。「肌離れがよく着心地がいいの。季節に合った半衿を付ければ、夏以外も一年中着られます」(大久保さん)脇のスリットの開きが大きく、胸をしっかり包める上、衣紋を抜くとき引っ張りやすいよう後ろ身頃は長め。レース袖は手首近くまでの長さがあり、袂からチラ見えする様が何ともかわいい。また袖丈は着物より短め。そのため着物の袖がいい具合に透け、清涼感も演出してくれる。


着物の袖口からのぞくレース袖がキュート。「袖丈は着物より短くてOK。その方が着物の袖が透けて、見た目も涼しげね」(大久保さん)


脇のスリットが深いため、バスト全体をしっかりと覆える。「衿元が美しく整うため、着物が着崩れしにくくなります」(大久保さん)

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大久保信子流レース袖半じゅばん

肌じゅばん

「肌じゅばんだけですっきりした胸のラインになる」
らしい…

●大久保信子流 肌じゅばん


「胸をきっちりくるむ。これぞ着崩れ防止の大前提」と大久保さん。左右の胸を覆うべく、この肌じゅばんには二大特徴が。一つが深い脇のスリット。「いろいろ試し、脇の下の開きから指1本分だけ閉じた深さにしました」(大久保さん)。もう一つが、別仕立てにする手間までかけて実現した、衽。その効果は絶大で、「今まで経験したことがないほど、バストトップまでしっかり包まれてます〜」と、試着した伊藤さんも納得の表情。
腕を上げても二の腕がのぞかないよう、袖は先に向かって細くなる船底形。また着物の衣紋に沿うように衿ぐりのカーブは深め。さらに生地は肌触りがよく、汗を吸うダブルガーゼを採用するなど、細かな工夫がこの一枚に詰まっている。


「着る人がきれいに見えるよう、工夫がたくさん詰まっているの」と大久保さん


脇の深いスリットと、別仕立ての広い衽とのダブル効果で、バストをしっかり覆うことができ、きれいな胸のラインを実現。生地は番手が細くしなやかなダブルガーゼで、肌触りが抜群。衣紋から大きく出ないよう、後ろ衿のカーブが深めに仕立てられているのもポイント。

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大久保信子流肌じゅばん

裾よけ

「裾よけでおなかの肉が補整になる」
らしい…

●大久保信子流 裾よけ
●大久保信子流 縦絽裾よけ


一目見るなり「ふつうの裾よけとちょっと違いますね」と伊藤さん。そう、この裾よけは一般的な裾よけよりさらし部分が幅広く、両端が大きな台形をしている。そして紐の位置も少し下。「三つの効果でお尻と下腹を持ち上げて支えるから、腰まわりがスマートになるのよ」と大久保さん。
さっそく巻きつけると、伊藤さんは「下腹が消えた! お尻も上がった!」と目をぱちくり。持ち上げたあとの余分なさらしは、折り返して紐で結べば、おなかまわりの適度な補整になる。さらしの下部分は滑りのいいベンベルグ。通年用は裾の折り返しを長く取っているため、重みでストンとたれ、裾さばきも抜群。絽目が入った盛夏用は、折り返しがなく涼やかに。この2枚があれば、すっきりした柳腰が一年中わがものに。



たっぷり広い台形のさらし部分と、下側に付けられた紐が下腹とヒップを持ち上げてキープ。巻くだけですっきりした柳腰に近づける。

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大久保信子流裾よけ


大久保信子流縦絽裾よけ

半衿

「衿芯もすいすい縫える」
らしい…

●大久保信子流 衿芯付き半衿


衿芯に半衿が縫い付けられた、その名も「衿芯付き半衿」。「半衿を付ける要領で長じゅばんに縫い付けるだけ」と大久保さん。芯は硬い三河芯ではなく伸縮性のあるバイアス芯。さっそく伊藤さんが縫ってみると「針がスイスイ通りますね」。それでいて仕上がりが美しく、衿元が首に沿うようにやさしくなじむ。
半衿の素材は正絹風の化繊・シルジェリー。汚れたら衿芯ごと外し、簡単に洗える。


芯は、三河芯よりも薄手でやわらかいバイアスタイプ。「針仕事が苦手な私でも、スイスイ縫えます」と伊藤さんも太鼓判。


衿芯部分は半衿よりも長め。ここが力布となるため、衿元が崩れた場合、下から引くだけで直せる。

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大久保信子流衿芯付き半衿

腰紐

「腰紐1本で着崩れしにくくなる」
らしい…

●大久保信子流 最強の腰紐


着物を巻きつけ、固定する。着つけの要といえば腰紐。「いろいろな素材の紐を試したけれど、これが一番」と大久保さんが絶賛するのは新モスの腰紐。新モスとは、さらしより細い糸で織られた木綿。
やわらかものや、ポリエステルの着物もしっかりとらえてくれるから、「夕方になるとだんだん裾線が下がってくる、なんて悩みもなくなりますよ」(大久保さん)。



肌じゅばん、裾よけ、腰紐、衿芯を使って、スラリきれいな着つけがかなった伊藤さん。「肌着や着つけ道具のチカラ、納得です」

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大久保信子流最強の腰紐

●引用元
着物まわり買いもの帖2020

●スタッフクレジット
教える人=大久保信子
教わる人=伊藤理佐
文=簱智優子
撮影=神ノ川智早