試してみた

これが正解。”肌着”診断室 Part2

肌じゅばん、半じゅばん、長じゅばん、裾よけ、ステテコ。 聞いただけでもこんがらがりそうな、着物の下の組み合わせ。いえいえ、何を優先するかで、 答えはシンプル! 悩める5人に、「肌着博士」がぴったり肌着をずばりと診断。

「天然素材で、涼しく着たい」Dさんは「麻」素材でさっぱりと

ひんやり涼しい天然素材といえば、麻。じゃぶじゃぶ洗えて、乾きも速いから、いつもさっぱり着られるのもいいところ。素肌に最も近い肌着を麻素材にすれば、すうっと風が通る心地よさを存分に体感できそう。

肌着博士
肌着博士

長じゅばんなしで着るゆかたの場合、肌着に求められるのは、バストトップや脚が透けるのを防ぐ役割。和装ブラジャー機能付きのワンピースタイプなら、1 枚でその役割を果たし、するっと着れば一瞬ですべてが整う。もちろんゆかたの下だけでなく、長じゅばんの下に重ねても。

お薦め1(長じゅばんタイプ)
「つゆくさ」大うそつき長じゅばん 麻わた入り

本麻の手もみ楊柳生地が、肌に張りつかず爽やか。背中から脇、腰まわりなど身頃の広範囲に入った麻わたが、着物への汗移りを防ぎ、軽い補整にもなる。絽麻の半衿付きで、すぐに着用できる。半衿や袖を替えてオールシーズン愛用する人も。

「つゆくさ」替え袖 [ひとえ]本麻 楊柳

大うそつき長じゅばん専用の替え袖。袷やひとえのときには、ひとえ仕立てで正絹の「市松ぼかし」を。上品な色合いで着物を選ばない。麻の大うそつき長じゅばんには、「本麻 楊柳」を。腕の汗もしっかり吸って心地いい。

お薦め2(半じゅばん+すててこ)
「大原商店」麻半じゅばん
麻ステテコ

二部式派には、本麻の手もみ楊柳生地の半じゅばん+ステテコの組み合わせも。半じゅばんはヒップが隠れる長めの丈で、下着のラインが表に響かない。ステテコはウエスト位置が低めで、脚まわりはゆったりしたつくり。クロッチ(股布部分)付きで足の開きもらく。

「枚数減らして、すっきり着たい」Eさんにはきれいも叶う、半じゅばん+裾よけを

何枚も肌着を重ねるのは気が進まなくて。ゆかたや気軽な着物を、すっきり身軽に着るには?

肌着博士
肌着博士

麻や絹紅梅などの気軽な夏着物なら、袖付きの半じゅばんと裾よけで、長じゅばんを省いた軽快なスタイルも似合う。ゆかたを着物っぽく着たいときにも◎。チラ見えしてもおしゃれで、着姿がスマートなものを選んで。

大久保信子流レース袖半じゅばん
大久保信子流裾よけ 梅鼠

着つけのプロ・大久保信子さんならではの知恵が詰まった半じゅばんと裾よけ。半じゅばんは、涼やかなレース袖で、袖ぐりが大きく、風通しもシルエットも◎。胸元に沿うバチ衿仕立てで、おくみワッフル生地の身頃は、衽幅がたっぷりあり、脇のスリットも深めなので、胸全体を覆って補整にもなる。一方、裾よけのさらしの腰布は、下腹やお尻を効果的に持ち上げるよう、形や紐の位置に工夫が。持ち上げた後に余った腰布は、折り返して紐で結べば腰のくびれの補整に。ベンベルグ素材の裾はすとんと垂れて裾さばきもいい。チラ見えしてもOKなシックな色もポイント。

「着つけ道具」は どう選ぶ?

選ぶポイントは ”涼しさ”か ”しっかり”か

どんな着つけ道具を使うかによっても、体感や仕上がりに違いが。涼しさを求めるなら、熱や湿気のこもりにくい天然素材やメッシュ素材を。ぴしっと着つけて着崩れを防ぎたいなら、しっかりしたつくりのものがお薦め。

「涼しさ」を求めるなら…

「大原商店」麻の伊達締め(1本)・腰紐(2本)セット

幾重にも布が重なる胴まわりは、熱がこもりやすく、汗でぐっしょり。麻の伊達締めや腰紐で、少しでも涼しく快適に。結び目が緩みにくく、気軽に洗濯できるのもうれしい。

メッシュ帯板

メッシュの帯板は、ソフトで軽くて通気性がよく、快適。ゆかたはもちろん、着物にもOK。夏だけでなく、通年手放せないという着物好きも多い。なにかと便利なポケット付き。

「大原商店」麻帯枕

吸湿&放湿性に優れ、さらりと軽やかな麻素材を使用した帯枕。背中の通気性が上がるので、夏はもちろん年間を通して「これでなくては!」という愛用者も多数。

「しっかり」を求めるなら…

大久保信子流伊達締め
大久保信子流最強の腰紐

伊達締めはやわらかい芯入りで、広い面で胸元をしっかり固定。腰紐は細い糸で織られた新モス素材で、滑りやすい着物もぴたっと留まる。一目で中心がわかる刺繍入り。

帯板

ボール紙の芯で、しっかり形をつくり、シワを予防してくれる。長すぎると太って見え、短すぎると脇にシワが出てしまう。こちらは長さ 37cm で脇線辺りで収まるので帯まわりがすっきり。

「ゑり正」帯枕

日常的に着物で過ごす方々からの要望が詰まった帯枕。少し長めの設計なので、お太鼓の両端が崩れず、きれいな形をキープ。枕を包んだガーゼがそのまま紐になるので結び目がソフト。芯がなくやわらかいので背中への負担も感じさせない。

これが正解。”肌着”診断室

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●引用元
七緒vol.74 夏号(プレジデント社)

●スタッフクレジット
文=中尾千穂
撮影=尾嶝 太
イラスト=tent