袷、ひとえ、はたまた夏物…。合わせる帯、帯揚げ、半衿など、合わせる小物のルールは難しい。カジュアルならば、厳格でなくてよいけれど、悩まない小物があったなら。季節をまたぐ時期に、大活躍すること間違いなし。
盛夏も、真冬も、好きな色で一年中
「三浦清商店×七緒」オールシーズン帯揚げ
袷(あわせ)に、ひとえ、夏の薄もの。季節に合わせ変化するワードローブは、着物なればこその楽しみ。けれどそれに伴う帯揚げ選びは、意外に難関。四季も、合わせる着物の素材も、すべて軽やかに乗り越えて、堂々と、しかも安心して使える一枚はないものか。「実は、小物に季節感を求めるようになったのは近年のこと。昔の映画の中では、薄ものに絞りの帯揚げを合わせていたりして、いまよりずっと自由だったんです。とはいえ夏は見た目に涼しげな方がいいし、冬は素材感がある方がしっくりくる。いいとこ取りの一枚をぜひ、つくりましょう」
秋月さんが白羽の矢を立てたのは、京都の白生地専門店「三浦清商店」の生地と染め。色は100枚以上の帯揚げを所有する秋月さんが四季を通じて使うものの中から厳選したとあって、これさえあればもう何も悩む必要なし。初心者はもちろん、上級者も鬼に金棒だ。
すっきり細めの帯締めは 夏も冬も大活躍
「衿秀×七緒」 細冠組(ゆるぎ)帯締め
端正な細幅が、着姿をすっきり見せる人気の細冠組に、待望の新色が登場。「今年のテーマは、ボーダーラインを自由に超える色。実はどれもさまざまな色の要素を含んでいるので、たんすに眠っている原色系の着物にも、イマドキの着物にもマッチしてブラッシュアップしてくれますよ」とコバヤシさん。
和紙を使った半幅はシーズンレス!
「coten」オリジナル半幅帯(ストレナエ)
いきいきとした月桂樹のリース柄と、斜めストライプ柄の変化のあるリバーシブルは、旅にも便利。ブランドを主宰する泉さやかさんが「近賢織物」に別注した大人っぽい色柄が光る。タテ糸に絹、ヨコ糸に和紙を使っているので存在感もたっぷり。程よい光沢が木綿や紬のみならず、やわらかものにも映える。やや広めの幅といろいろな結び方ができる長さもポイント。
色合わせがモダン。木綿、紬、ゆかたにも
「みんさー工芸館」みんさー半幅帯
プロポーズをしてくれた男性と、いつの世までも。そんな女性たちのいにしえからの思いが込められた五四絣(いつよがすり)。八重山みんさー織を代表する伝統的な文様を、モダンな感覚で楽しめる半幅帯を。着物スタイリストの大川枝里子さんが吟味。「南国らしいパキッとした配色もゆかたなどには素敵なのですが、着物に合わせるなら多色使いの方がなじみやすく都会的。お手持ちの木綿や紬を無理なくアップデートできる色を選びました」と大川さん。小物合わせの楽しみもぐんと広がる。
ふんわり軽い ナチュラル木綿
「千織」遠州木綿 みぞれ(反物)
木綿でありながら、まとえばふわりと軽くやわらか。肩の凝らない着心地の秘密は、昔ながらのシャトル織り機で糸に負担をかけずゆっくり薄手に織られているから。複数の色が相まった奥行きのある表情も魅力だ。今回色選びを担当してくれたのは着物スタイリストの大川枝里子さん。「サンゴとヒヤシンスは透明感があって顔映りも◎。染めの着物感覚できれいに着られます。ホシゾラは格好いい帯も甘い帯も映える万能選手。ショコラは紬(つむぎ)好きには見逃せません」。生地幅はゆとりの40cmで、裄ゆきが長めの人にもお薦め。うれしい価格も見逃せない。