あの人の愛用品

あの人の愛用品/岡田知子さん

そのまま着たり、カスタマイズしたり。
気楽が一番ですよね

●岡田知子さん イラストレーター

 着物好きで知られるイラストレーターの岡田知子さんは、自分らしく自然体で着物を楽しむ「着物達人」。夏でもさらりと涼しげに着こなす姿が素敵だ。「夏は涼しく冬は暖かく。気候や気温に合わせて肌着や小物などに工夫をしています」
 そこで温度調整で最も役立つアイテムのひとつが、京都の老しにせ舗和装小物店「ゑり正」の半じゅばんだという。「肌に触れても気持ち良く、丸ごと洗える綿の半じゅばんは、そのまま綿や麻に合わせたり、小紋などには替え袖を付けて使います。もちろん絹の長じゅばんも着ますが、丸ごと洗える半じゅばんは気兼ねなく使えるのでふだん着用として愛用しています」。便利なのはもちろん、着物のおしゃれにも一役買っているようだ。 
 心地よくストレスなく着て動けることは、着物を長く楽しみ続ける最大のポイント。長時間、着物で過ごしても疲れないようにするには小物選びも大切だ。「このメッシュの帯板はあらゆる意味で〝ちょうどいい〞んです」と、岡田さん。美しく着るためにも帯を守るためにもシワは防ぎたいけれど、硬すぎる帯板は時間がたつと疲れの原因に。「硬さも長さも通気性も私にはジャスト。夏に限らずいつも使っています」
 着物を着るときは、なるべく自然素材のものを選び、清潔感のある着こなしを心がけるという岡田さん。肌触りが良く洗濯できるじゅばんや、着心地のよさをかなえてくれる気の利いた小物が、日々の快適な着物ライフを支えてくれているようだ。

月に3~4回は着物を着てお出かけするという岡田さん。作家ものの着物や帯、オリジナルのアクセサリーなどが揃う東京・南青山の「itonosaki」もお気に入りの店のひとつ。

お手製の替え袖と裾よけは、おばさまからいただいた絽(ろ)の小紋を解いてつくったもの。裾よけは脱ぎ着がしやすいよう巻きスカート風に縫ってゴムを通し、ペチコート仕立てに。

ひとえから夏ものの時季は、半じゅばんが大活躍。「汗をかく時季はこれが必須。ザブザブ洗って気持ち良く着ています」。メッシュの帯板は、夏に限らず年中使っているそう。程よい硬さで座っても痛くならないのがお気に入り

岡田知子さんの愛用品

和装小物の老舗「ゑり正」が自社工場で縫製している半じゅばんは、天竺(てんじく)さらしの身頃が心地よく、綿レースの筒袖の刺繍がアクセント。衿がしっかりしているので衿芯は不要、半衿はポリエステル塩瀬なので付けたまま丸ごと洗えて便利だ。メッシュの帯板は通気性が良く、夏ものにはもちろん、袷(あわせ)の時季でも腰まわりがムレることなく快適に着られると、ファンが多い一品。軽くてソフトなので旅行などにも重宝する。便利なポケット付き。

おかだ・ともこ イラストレーター。着物歴は30年以上。着物の楽しみや日々の暮らしをつづったブログ「丘の上から通信」では、着つけのコツなども丁寧に紹介している。著書に、イラストとともに着物のあれこれを紹介した『きもの語辞典』(誠文堂新光社)

撮影=吉澤健太 文=沼田美樹