着物を快適に楽しむために欠かせない「肌着」。皆さんはどんな基準で選んでいますか?暑さや寒さ、かゆみといった悩みは、季節や体質によってもさまざま。そこで今回は、こまものや七緒のユーザー3名にご参加いただき「着物における肌着」をテーマに座談会を開催しました。初心者からベテランまで、それぞれの視点から語られるリアルなお困りごとや、解決の工夫をご紹介します!
夏場の蒸れをどう防ぐ? リアルな声と工夫
着物は涼しげで美しい反面、汗ばむ季節は暑さ対策に悩むことも多いもの。汗による蒸れや肌着の選び方など、七緒の愛読者3名が実践する工夫やおすすめアイテムを伺いました。快適に着物を楽しむヒントが満載です!
私は高知県に住んでいるので、夏場はとにかく蒸れるのが大変なんです。そこで、肌着を省いてうそつきじゅばんだけを着るようにしています。かなり涼しくなるんですよ。それと、ヘチマの帯枕を使っています。風通しが良くて軽いので、一年中愛用しています。特に椅子に座った時に普通の帯枕だと背中に硬い部分が当たって痛いのですが、ヘチマは柔らかくて快適なんですよ。
●「へちま産業×七緒」手づくりへちま帯枕キット
それ良いですね!私は暑さ対策に補正具や前板に涼感素材を取り入れています。たとえば、着付け師の木下紅子さんの涼感タイプの補正具。胸元や腰回りに使うとひんやりして気持ちが良いんです。
補正具で涼しくなるなんて便利!私も試してみたいです。
「たかはしきもの工房」さんのメッシュ素材の前板もおすすめです。よくあるメッシュの前板は柔らかすぎるんですけど、たかはしさんのはしっかりしているのに通気性がよくて。その後に普通の前板を使うと、通気性が段違いなのがわかるんです。
●「たかはしきもの工房」べっぴん帯板 メッシュ
しっかりした前板で涼しいのはありがたいですね。蒸れないのが何より大事です。
あと、暑さ対策として塩レモン飴を常備しています。着物を着ていると普通より汗をかくので、塩分補給が必須です!
私が住んでいる北海道の釧路は真夏でも25度を超えないので、暑さはそこまで気になりません。ただ、重ね着が多くなるのが気になりますね。肌着を着て、肌襦袢を着て着物を着て、その後に羽織….となると、気がついたらたくさん着ているじゃないですか。気軽に楽しみたいから、できるだけ省略して着るようにしています。
確かに!具体的にはどう省略されていますか?
和装ブラと麻の半じゅばんを直接着るとか、ステテコを履いて裾よけはつけないなどですね。肌着を省略すると軽くなって快適です。
●「大原商店」麻半じゅばん
ステテコは夏場に涼しそうですね。
そうなんです!ももの貼り付きが防げるのでとても快適ですし、歩きやすいのも良いですね。
お二人とも、実用的なアイデアをたくさんお持ちですね。どれも試してみたくなりました。
寒さ対策は、あったかインナーにひと工夫
冬場の着物は重ね着のおかげで暖かいものですが、じっとしていると冷えを感じることもあります。特に寒さが気になるのは、手首や足首など肌が露出する部分。着物好きの方々がどのような防寒対策をしているのか、お話を伺いました。
着つけのアシスタントをしているとじっと立っている時間が長く、手足が冷えてしまうことがよくあります。そんなときにおすすめしているのが、足袋の中に履けるインナー足袋です。これを重ねるだけで足元が驚くほど暖かくなるんです!あと、袖口が寒いと感じる方には、肘まで覆う手袋がおすすめ。指先が出るデザインのものだと、細かい作業をするときにも便利ですよ。
●「DRESS HERSELF」アームウォーマー/シルクカシミヤ
北海道では防寒対策は必須です。ヒートテックのインナーとかレギンスで防寒したいのですが、これが着物に合うのかずっと気になっていたんです。実際に着てしまってはいるのですが、皆さんはどうなんでしょうか?
ヒートテックを愛用している方は多いですよ!ただ、通常の着方だと襟元が見えてしまうことがあります。そこでおすすめなのが、U字型のヒートテックを前後逆に着る方法です。この着方だと、背中側が深く開くので衣紋がきれいに抜け、衿元が着物に干渉しないんですよ。
なるほど!前後を逆に着るなんて発想がなかったです。すぐ試してみたくなりました!
本当に、大収穫なテクニックですね。冬場の着物の楽しみ方がもっと広がりそうです。
そうなんです。着物好きの間ではよく知られた方法ですが、意外と知らない方も多いんですよね。
ヒートテックのステテコやレギンスを使うのはどうですか?それだけで大丈夫かなと思うこともあるのですが…。さらに裾よけをした方が良いのでしょうか。
ステテコやレギンスを活用している方はたくさんいらっしゃいます。履いていると汗とりにもなって快適ですよね。もちろんそれだけの方もいらっしゃいますが、実は裾よけの力も侮れないんです。防寒だけでなく、汚れ防止の役割と、ボディラインを整える効果もあるんです。寒さが気になるときはもちろん、着物を美しく着こなすためにも取り入れると良いですよ。
動きやすさや快適さを考えると、インナー選びも大事ですね。
肌にやさしいアイテム選びと素材の工夫
冬場は寒さ対策が重要ですが、肌が乾燥しやすくなる季節でもあります。さらに、長時間着物を着ていると肌に負担がかかり、かゆみを感じることも…。着物好きの方々が実践している、かゆみを防ぐための工夫を伺いました。
私は肌が弱くて、着物を脱いだ後に胸元や胸の下あたりがかゆくなることがあります。特にザラザラした素材やタオル補正が苦手なので…。それで、最近は木下紅子さんのスルスルした肌ざわりの補正アイテムを愛用しています。表面が滑らかで汗も吸い取ってくれるので、かゆみを感じにくいんです。
私は比較的肌が強い方なのであまりトラブルはないのですが、着物店で買った和装ブラでかゆくなったことはあります。
素材選びは本当に大事ですよね。今試しているのが、着付け講師のすなおさんがプロデュースした和装用インナーです。他のアイテムと組み合わせてかゆくならない工夫を、いろいろ研究しています。
私の場合、洋服の肌着でゴムが肌に当たる部分に水ぶくれができることがありました。でも、和装肌着は紐で留めるものが多いので、締め付け感が少なくて楽ですね。
わかります。最近ネットで見つけた和装ブラを使っているのですが、つるんとしたメッシュ素材で締め付け感が少なくてとっても快適で。胸から肋骨の下までカバーしているので、動いても肌に負担がかからないんですよ。
それは良さそうですね!胸下の汗も吸収できそうで、まさに着物にぴったりなデザインですね。
ネットならではなのかもしれませんが、サイズ展開が豊富なのもいいなと思っています。自分に合うサイズを選べるのは本当にありがたいですね。
素材と形状の工夫で快適に着られると、着物をもっと楽しめそうですよね。私もいろいろ工夫してみます。
自分にあった肌着で、着物を着るのもらく~に
着物好きさんたちによる座談会、いかがでしたか?「着物好き」という共通項があることで、トークは終始大盛り上がり!それぞれの工夫やおすすめアイテムは、着物をもっと快適に楽しむヒントになったのではないでしょうか。ぜひこの座談会を参考に、着物でのおでかけをお楽しみくださいね。