あの人の愛用品

あの人の愛用品/山崎陽子さん

縁の下の力持ちが私らしさの土台をつくってくれます

●山崎陽子さん 編集者・きもの著述家

着物生活をはじめて10年。これまでにたくさんの着つけの便利グッズを試してきた結果「1周回ってシンプルに落ち着いた」という山崎陽子さん。
「補整はせず、長じゅばんにレース紐を1本と、着物にきんちの腰紐、胸紐を1本ずつ。伊達締めは着物にだけ。帯板は帯を巻いた後に入れています」
 どれもシンプルだけれど、ひとつひとつの道具にはこだわりがある。とくに伊達締めは、幅の広いタイプを使うようになってから着崩れしにくくなったことを実感し「道具を替えるだけでこんなに着つけが変わるのか」と驚いたという。さらに、
「補整をやめたのは5年前。コロナ禍で人に会う機会が減り、自宅でのふだん着物がメインになったので、見映えより着心地を存分に楽しもうと思って」と山崎さん。そこから、より快適な着方や素材を探すようになった。「まず替えたのは下着。スリップは直接肌に触れるから、肌なじみの良い天然素材で汗をしっかり取ってくれるものを選ぶようになりました。道具は本当にいろいろ試したけれど、しばらくは今の着方が続くかなと思っています」
 山崎さんのように、自分なりの正解が見つかると、着ることがますます楽しくなりそうだ。

広幅の伊達締めは帯板とほぼ同じ幅。ホールド感が気持ち良く、着崩れにくい。山崎さんは夏は普通幅の紗の伊達締めも使用。手前が通常幅、奥が広幅。

肌に直接触れる肌着は、着心地で選びたい。愛用しているスリップは、身頃は綿100%で少しシボがあり、涼感がある。Sサイズがあるのも◎。

長さが短い帯板は、帯の巻き終わりにすっと入れやすい。「小柄できゃしゃな人にはとくにお薦め」と山崎さん。

山崎陽子さんの愛用品

●「ゑり正」短め帯板

横幅が33cm、高さが13cmとコンパクトな「ゑり正」の短め帯板。横幅が短いからこそ帯の巻き終わりに差し込みやすく、着崩れ防止に。着姿がやわらかい雰囲気になるので、名古屋帯はもちろん、半幅帯などカジュアルなスタイルに最適。

●「ゑり正」スーピマ レース付 スリップ

なめらかな肌触りの超長綿繊維・スーピマコットンでつくられたスリップ。身頃は綿100%で吸水性も通気性もバツグン。ゆかたのインナーに着れば、袖のレースがちょっとしたあしらいになり見えてもきれい。冬場の静電気も起きづらいなど、年中大活躍。

一般的な伊達締めの幅が約10cmのところ、この伊達締めは約13.2cm。面積が広い分、着物をしっかりと押さえてくれて着崩れ防止に。絹100%だからこそのきゅっと締まる心地よい感覚もポイント。博多織の献上柄で、淡い色合いの3色から選べる。

やまざき・ようこ きもの著述家。『クロワッサン』『オリーブ』『アンアン』の編集部に勤めた後、フリーランスの編集者、ライターとして活躍。著書に『きものを着たら どこへでも』『おとなの浴衣、はじめます』(いずれも技術評論社)など。

撮影=豊田 都 文=山本梨央 構成=山本章子