「KOTOWA」帯揚げ
「きものやまと×CASUCA」帯留め
紋織り博多八寸名古屋帯
●樺澤貴子さん クリエイティブディレクター
「洋服と同じ感覚で、着物を愉しむ」樺澤貴子さんが推薦するのは、さりげないけれど遊び心が光る帯まわりのアイテム。「『柄×柄』は着物の醍醐味ですが、現代の感覚では、なかなか難しいですよね。かといって〝無難〞に逃げず、一歩先にある自分らしいおしゃれがしたい」
そこで活躍するのが、「程よいさじ加減で足し算ができるアイテム」だという。自身がたずさわるブランド「KOTOWA」では、手軽に採り入れやすい帯揚げで、その思いを形にした。マドモアゼル・ユリアさんが持っていたアンティークの裂地から着想。直線的な格子柄で「現代的な遊び心を足し算」することで、帯まわりが引き締まり、モダンな雰囲気が醸される。
安野ともこさんが手がけるジュエリーブランド「きものやまと×CASUCA」の帯留めは、金属の表面にほどこされたランダムな凹凸に光が反射し、優しく輝く。「きゃしゃなディテールが、着物の繊細な織りや刺繍と調和し、小さな輝きでも着姿をぐんと引き上げてくれます」
着物の格にも季節にも幅広く対応でき、1本あると便利なのが博多織の名古屋帯。「まさに足し算のベースとして、テッパンのお助け帯」と樺澤さん。華やかな刺繍リボンが、ハッとする後ろ姿を演出してくれる。
淡いモカ茶色の江戸小紋のひとえは、小物次第でカジュアルにもよそ行きにも活躍。ちらりとの
ぞく帯揚げが、清楚(せいそ)な着姿にモダンな表情をプラスする。※着物、帯は樺澤さん私物。
上/「真珠」の帯に紫の三分紐と松の帯留め、帯揚げのネイビーで初夏の装いに。下/「墨茶」の帯にからし色の真田(さなだ)紐と撫子の帯留め、帯揚げのグリーンが映え、同じひとえが秋仕様に。
樺澤貴子さんの愛用品
楊柳の揺らぎが、格子柄にやわらかなニュアンスを添える帯揚げ。格子の間隔が広いので、見せる部分によって雰囲気が変わるのも面白い。シックな配色は、ひとえ、袷の季節を問わず活躍しそう。この1枚
で新しいおしゃれの扉が開くはず。上から「koushiグリーン」「koushiネイビー」。「きものやまと×CASUCA」の帯留めは、上から「松」、「撫子」、「菱」。
大正3年創業の博多織元「協和織工場」が手がける紋織り博多帯。合わせやすい地紋入りの無地で、引き締める「アラベスク墨茶」と抜け感をつくる「アラベスク真珠」は活用度が高い。光の加減で浮かび上がるアラベスク文様が品格と立体感を、お太鼓部分の刺繍リボンがおしゃれ心を表現。カジュアルな紬からやわらかものまで、3シーズン対応。
かばさわ・たかこ 女性誌や書籍の執筆・編集を中心に、企業のブランディングなども手がける。茶道をはじめ和文化に精通。2023年、マドモアゼル・ユリアさん、久山美樹さんと〝和〟スタイルを提案するブランド「KOTOWA」を立ち上げた。https://kotowa.jp
撮影=豊田 都 文=新井 円