着物姿が、今の街並みに
ソフトランディングするんです
●「YOUTOWA」バックタック入りボリュームスリーブカーディガン
「やふそ紅型工房」のひとえ着物に首里織の帯、紫色でまとめた装いに、展示会で一目ぼれした「YOUTOWA」のカーディガンをさらりと羽織って現れた近藤サトさん。
「着物のラインに自然と寄り添い、1枚多く着ている実感がないほど軽やかな着心地です」
袖のドレープが袂をしっかり収め、長めの袖口リブが保温と見た目のエレガントさを両立させる。着物ブランド出身のデザイナーが細部までこだわった、洋服にも兼用できるスグレモノだ。なめらかな編み地は肌当たりが優しく、シワになりにくいので、長時間の移動にも重宝。「温度調整はもちろん、羽織として室内でも着られるので、移動で帯の乱れが心配なときにも安心。食事のときに袂を気にする必要がないので、着物に慣れていない方にもお薦めです」
この日も紅型の緻密さをいとおしそうに語ってくれるなど、着物と伝統工芸を愛めでるサトさんだが、一方で「現代に合った快適な着物スタイル」の追求にも余念がない。それは、冷暖房を前提に従来のひとえ・袷のルールを見直すことだったり、洋服姿の中になじむ工夫だったり。
快適さの「微調整」が得意なカーディガンは、現代の街並みと着物姿を軽やかにつなげてくれる頼もしい存在になっている。
衿元が衣紋にきれいに沿い、背中心にはアイレット柄のアクセントが。タックが帯の膨らみをカバーしながら縦ラインを強調し、すっきりした後ろ姿に。袂がしっかり収まるボリュームスリーブで、洋服のときには膨らみが出ないデザイン。袖口のリブが手首を美しく見せる。
オーストラリア産のエクストラファインメリノウール糸を使用。オフスケール加工により毛玉ができにくく、縫い目ができない技法により、突っ張りや当たりがなく優しい着心地。
近藤サトさんの愛用品
160年以上、「糸」にたずさわってきた老舗が運営する「YOUTOWA(ユウトワ)」。「洋と和の境界をフラットに」の意味を込め、着物、洋服の両方に合わせられるオリジナルウエアを発信する。厳選したメリノウールを使った、なめらかな編み地のカーディガンは、新潟県の工場で繊細なディテールと色合いをデザイナーのイメージ通りに仕上げたもの。紐を結んで羽織風にも、ボタンを留めて洋服風にも楽しめる。お手入れはドライクリーニングで。
こんどう・さと フリーアナウンサー、ナレーター。日本テレビ系列「真相報道 バンキシャ!」のナレーションなどで活躍。母校の日本大学芸術学部特任教授も務める。YouTubeの着物バラエティチャンネル「サト読ム。」で着物の楽しみ方や豆知識などを配信中。
撮影=豊田 都 文=新井 円