あの人の愛用品

あの人の愛用品/林家けい木さん

草履なのにスニーカー素材。
そのギャップがいいですね

●林家けい木さん 落語家

着物は落語家にとって欠かせない衣裳。前座から二ツ目に昇進したころから、誂えものを楽しめるようになったそう。「ふだんは着物を持って行って、高座に上がるときに着替えます。独演会などで2席上がるときには、着物を2枚と『帯源』のリバーシブルな博多帯を持って行って、がらっと雰囲気を変えることも」と林家けい木さん。
 気軽にゆかたで飲みに行くときには、柳家喜多八師匠から形見にもらった雪駄を合わせたり、遊びに行くときにはデニム着物にパーカーやリュック、スニーカーを合わせたりと、ふだん着としても着物を楽しんでいる。「歩く距離が長いときは『カレンブロッソ』ですね。雨上がりや小雨くらいなら、多少は濡れてしまっても大丈夫な耐久性があるので安心です」
 都内4カ所にある寄席の楽屋で、前座として師匠たちの着替えを手伝っていた経験が、着こなしを学ぶ機会にもなっていた。「僕の師匠の林家木久扇はもともと漫画家だったこともあって、ネタに合わせての色選びにもこだわりがありました」
 さまざまな師匠の着物を畳みながら、衿や羽織紐の差し色のバランスから「こんな重ね方もあるのか」と気づくことも。差し色の選び方が、草履の鼻緒選びに生きることもあるという。
「ターコイズブルーなどの鼻緒は一見ポップだけれど、男性のシックな着物に鮮やかさを足す色としていいですね。世代を問わずに楽しめそう」。男性の着こなしをたくさん見るという視点で寄席に行くのも、新しい楽しみ方かもしれない。

帯にかけたスマホストラップはなんと自作! ダッフルコートのボタンがストッパーになっていて、博多帯にもしっくり。「現代のたばこ入れのような、ちょっとしたおしゃれとして採り入れています」

愛用の履き物のひとつで、「THE YARD」と「カレンブロッソ」のコラボ草履。落語家仲間と話していても、「カレンブロッソ」はメンズのサイズ展開が幅広いと人気なのだとか。

林家けい木さんの愛用品

軽やかなEVA素材でできた台に、スニーカーでもおなじみのビブラムソールを使った底。
高反発クッションを採用しているので履き心地も満点。すげ穴がないため、雨上がりなどでも底から水が浸入してこない。草履を履き慣れていない人にこそぜひお薦めしたい。一番右上から時計回りに、カフェぞうりZETTA(メンズ)のベージュ・黒、カフェぞうり メンズの初音尽くしモノグラム・ブルーグリーン。

はやしや・けいき 埼玉県比企郡小川町出身。2010年林家木久扇に入門、2015年二ツ目昇進。日本テレビ系列『笑点』でアシスタントを担当。『週刊少年ジャンプ』(集英社)連載「あかね噺(ばなし)」の落語監修、CM出演、YouTuberなど落語家の領域を超え、幅広く活動。

撮影=豊田 都 文=山本梨央 構成=山本章子